大学時代から現在に至るまで、私はルチアノ ・ベルタニョリオ先生のもとで、声楽の勉強をつづけて参りました。 先生は私にとっての声楽の師であり、また人生の師という存在です。先生の神父というもう一つの一面が、私をそう思わしめているのかもしれません。 ベルタニョリオ先生のレッスンの中には「人生の意味」を教えるメッセージが幾つも含まれているように感じます。 メッセージは時にあたたかく、時に半端なくきびしいものですが、「ほんもの」を探す旅上にあることを私に思い起こさせる大切な言葉です。 先生はレッスンでよく「つめたい技法」という言葉を使われます。 本当の意味でこれを理解できたのは歳を経た近年になってからかも知れません。 テクニックを身につけるきびしさと、それを絶えず探求する「感情を制した冷静さ」を意味するものと拝察していますが、 ベル先生の追い続けた歌の世界を、今後も私の目標として、レッスンでの幾つものメッセージを心にとめて、歩んで行きたいと思います。 本年(2014年)には、ベルタニョリオ先生のご指導の下、長崎と東京でリサイタルを予定しております。師の情熱、メッセージがお伝えできますよう、また、皆様の心に残る演奏会になりますよう努めて参ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ソプラノ:松本佳代子